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螺鈿細工のメーカーの悩み②

2015年の国際貿易会議で、約300種類のローズウッドが取引規制の対象になりました。
2015年5月の米国調査団のレポートによると、ローズウッドが最も闇取引されていて、2005年から2014年までの押収物の35%を占めていました。末端価格にすると象牙、センザンコウ、サイの角、ライオンやトラの剥製よりも高額だったのです。

今ではこの樹木の取引規制の大半は解除される傾向で、2017年度にはベトナム産の大半が対象になるでしょう。

ドンキーの工房ではローズウッドなど希少な木材から作られており、規制強化の知らせはとても悪いニュースでした。しかし賑わう木材市場では、この規制の効力がどこまで利いているかは不透明です。ドンキーのビジネスが木材の縮小のピンチにさらされている一方、潤沢なローズウッドは今でもベトナム市場に流れ込んでいます。非営利団体職員の一人は「ラオスやカンボジアで輸出禁止になっている木材が以前としてベトナムに流れているのは明らかです」と指摘します。

とても慎重に言葉を選びつつ彼が教えてくれたのは「汚職とか腐敗と言われる手口で、これらは国内に入り込んでいるのです」とある調査の見積では2015年前半の調査では11,500万相当の木材とローズウッドの丸太がカンボジアから流入したと指摘されています。これはフンセン首相による密猟の弾圧宣言や新たなローズウッド輸出規制にも関わらず、起こっている事実です。

この政策は2015年初頭に有効となり2,500万ドルの取引は1月にたった340万に減少しました。しかし5月には1,300万まで戻って冬までこの増加傾向は続きました。これは国境沿いの有力勢力の存在を浮かび上がらせます。例えば政府の調査が入ったとしても、弾圧が終わるのを待っているだけなのです。そしてこのデータは公表されていません。

「我々は国営木材産業連盟に5年間協力して輸出調査をオーソライズし、このデータを入手できるようになりました。これをベトナムだけでなくラオスやカンボジアの政府にも渡して浄化を目指します」

ドンキー地方市場に隣接して、様々な大きさに切られた丸太が積み上げられています。この地域の木材商人はとても活き活きと仕事をしてるようです。バイクや3輪車が狭い小道を走り回って木材を積み込み、取引に奔走しています。

木材の大半はトラック(ローズウッドのベトナム語)と呼ばれ、ラオスとカンボジアから運び込まれます。先日訪問したときは仲買人達は違法取引のことを気にしている様子はありませんでした。政府が調査している様子もありませんでした。

現場責任者は「合法なのも、違法なのもある」と説明します。「全部を調査はできないし、誰も管理してないからわからないよ。ここには公的な管理組織なないからね」しかし森林省の意見は異なります。「木材の輸出入管理の法的管理の仕組みはあります、最大の問題は、この仕組みが現場に浸透していないことなのです」政府の連合組織体が木材の出入りを管理しています。国境だけが財務省、森林省、国境警察、農業地方開発省、厚生省の入り混じった組織が監視しているのですが。

役人によるとカンボジアの国境を越えて木材を持ち込むにはドンキーのような加工拠点の輸入業者が種類・量・購入価格のリストを持ってる決まりです。さらにカンボジアの業者との契約書の写も必要なのです。

木材がドンキーに到着したら国境警察の代わりに役人が木材の適正をチェックします。しかし、現場責任者の言うとおりで、実際は検査はほとんど行われていません。

「私は政府の役人とも話をし、地元住民の生計を見守ると言われてきたんだ。この町は長年こうしてやってきたんだし、この町の経済に問題を起こしたくないんだ」

しかし、政府の介入がないにしても、この地方の経済は困窮しています。快活な中年女性に聞いていみると、この地域の仕事は徐々に減っているようです。「昔から彫刻の村がここにあって、何でも手に入ったわよ」。競合がないのに質の良い木材は手に入りにくくなり、売り上げ減を嘆いていました。

「数年前は一年で45,000ドルから90,000ドルの売り上げがあったわ」彼女は世界銀行の統計、平均2,000ドルの年収を引き合いに出して言いました。「でもここ何年かは22,000から27,000ドルってとこね」。彼女の年収を証明するものはありませんが、木材を単価2ドルで売り、アメリカの輸出が収入源のようです。

ドンキーで木材加工を営むチュ・バン・ナン氏も同様の苦しさを打ち明けます。彼が座る居間の壁には、ホー・チミン、マルクス、レーニン、エンゲルスの肖像が並び、大型テレビには大鋸屑からスクリーンを守るビニールかかぶせてありました。

「数年前は20人の職人を雇っていたけど、今は4人だよ。中国に売るだけで良かったけど、材質は悪くなってるね」そして彼は付け加えました。「世界で最も貴重な掘り出し物を探しに来る中国人に釣り合う品質のものは、もはや存在しない。」と。

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螺鈿細工のメーカーの悩み

ベトナムの高級木材螺鈿細工職人は、法規制と森林破壊に悩んでいます。

東南アジアでは希少で高価な木材が不足し始めて、ベトナムの老舗的メーカーはEUに輸出する活動にシフトするプレッシャーに直面しています。ドンキーという村の小さな工房では、ローズウッドなど希少な硬い木材を加工していますが、70%もの輸出を中国に頼っています。ベトナムのローズウッドは東南アジアの近隣諸国から仕入れていますが、森林開発によって徐々に小さくなっています。

現在、規制が厳しくなっているにも関わらず、2016年の前半にはカンボジアからベトナムに11,600万ドルもの丸太とローズウッドが流入しています。規制法は前からあるのですが、法制強化はまだまだです。EUの森林法規制とのVPA交渉はまだ途上ですが、EUとの材木取引はより管理された状態を目指しています。

ベトナムの首都ハノイから45分ほども走れば、大工の街ドンキーに着きます。そこではノコギリが木を切る騒音に負けないように会話をしなければなりません。あちこちで木屑が滞留し、数時間もすれば喉が荒れてきます。家具のショールームでは目を疑うほど精巧な彫刻を施したテーブルと椅子が、10,000ドルの価格帯で展示され、工場が目抜き通りの左右と路地を埋め尽くしています。

伝統的な手彫りの家具の大半はシャムのローズウッドが原料で、この街は木材産業が秩序を形成しているのです。その規模はとても大きく、2015年の木製家具の輸出は73億に昇ります。ドンキーの生産工場は中国の巨大市場にしています。中国との国境わずか200マイルのロケーションは、金持ちの仲買人相手に伝統工芸を売り渡す最高のポジションです。

しかし、事情は複雑です。大半の資源はラオスやカンボジアが頼りですが、シャムのローズウッドは絶滅危惧種になっており、公的には商取引としては既に終了扱いなのです。ドンキー木材連盟の現場責任者ヴ・コック・ゴン氏によると、ここで生産される家具の70%は中国向けです。残りは国内で売買されます。実生活では固くてとても使えないのですが、どちらの国でもこの家具がステータスを表しているのです。2014年には中国で240億ドルもの売上を記録し、ベトナムが第二位の売上高です。

ドンキーだけで200もの会社が取引をしていますが、大半は零細で、家族経営も珍しくありません。連盟では2020年までに会社数を1000に増やしたいとしています。そのような急激な成長は現状ではありえない巨額な投資が必要です。しかし、家具生産者たちにとっては、ブランドを支える原材料の入手がもっと大変な問題なのです。

「最近は中国の木材需要は高まる一方ですが、ベトナム、ラオス、カンボジアの規制も強まるばかりなのです。」責任者のゴン氏は言います。東南アジア全体の規制強化と、ローズウッド材保護のために国際的な違法取引の取締の動きについて話してくれました。